TYPO

タイポ、と読む。打ち間違いのことである。

Typographical Error の略で、もとは印刷業界用語だった。

入社後、資料のレビュー中に「これタイポ?」と言われてきょとんとする新入社員は多い。


窓から差し込む夕陽が、なんだか憂鬱な気持ちにさせる、定時間際のある日のこと。

取引先のTさんと、来週の重要なプレゼンに向け、今週末に打ち合わせを行う必要があった。

Tさんはかなり立場が上の人で、この人の機嫌は損ねないよう、上司からも言われていた。

しっかり文面を考えて送ったはずが、最後の一文にTYPOを発見し愕然とする。

「終末に少しお時間いただけないでしょうか?」

タイプミスだ。やってしまった。もう送信済みなので取り消しも無理だろう。

終末に時間はもらえないだろ・・と頭の中で突っ込んでいるとすぐに返信がきた。

取引先の、そのTさんからだった。

「終末は家族と過ごすと決めていますが、今週末ならOKです」

あ、この人とはうまくやっていけそう。そんな気がした。

窓から差し込む夕陽が、とても綺麗な夕方のことだった。

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