はじめに(これまでのあらすじ)
まずは読み方ですね。Godotと書いて、一般的には「ゴドー」と読みますが、開発者の方が「ゴドット」でも何でも好きなように呼んでくれていいと言っているので、好きなように発音して大丈夫ではないでしょうか。
オープンソースのゲームエンジンで、2007年にアルゼンチンのゲーム開発者であるJuan LinietskyとAriel Manzurによって開発が開始されました。最初は彼らのプロジェクトやクライアント向けのツールとして使用されていましたが、2014年にMITライセンスのもとで正式に公開され、オープンソースプロジェクトとして広く利用されるようになりました。
一方、ゲームエンジンとして有名かと言われるとそうでもなかったんですよね。UnityやUnreal Engineなどとくらべるとはるかにマイナーだったと思います。
風向きが変わったのが2023年9月。Unityが突如ライセンスの変更を発表しました。
新しい「Runtime Fee」制度では、ゲームのインストール数に基づいて開発者に課金する仕組みが導入される予定でした。特定の収益とインストール数を超えたゲームには、インストールごとに課金される可能性があり、小規模な開発者やインディーゲーム開発者にとっては大きな負担となることが懸念されました。みなさんリセマラという言葉を聞いたことはありますかね。ゲーム初プレイ時の初回特典で1回だけ引けるガチャみたいなものです。例えばあれをやろうとするとユーザにインストールされるたびに課金が発生することになってしまうのですね。
この発表は業界全体にショックを与え(ショックというか阿鼻叫喚)、多くのスタジオがUnityのエンジンから他の選択肢に移行することを検討すると表明しました。
批判を受けてUnityは謝罪し、2024年9月中旬に方針の修正を発表しました。無料の「Unity Personal」ライセンスを利用している開発者にはランタイム料金がかからず、年間収益が100万ドル未満のゲームには課金されないことが決定されました。また、この新しい課金制度は2024年以降にリリースされるバージョンから適用されることになり、既存のゲームや現在開発中のゲームには適用されません。
結局何がしたかったのという感じですが、これをきっかけに業界内では、Unityに対する信頼が大きく揺らいで、多くの開発者が他のゲームエンジンへの移行を検討しています。
その移行先の1つとして、にわかに注目を集めたのがGodotです。
特徴
主な特徴は下記です。
1. オープンソースかつ無料
- Godotは最も緩いMITライセンスで提供されています。完全無料で、商業利用も含めて誰でも(個人でも企業でも)利用できます。ソースコードも公開されており、開発者が自由に改変・拡張可能です。ただし配布や再利用の際は、元の著作権表示とライセンスの文書をそのまま残す必要はあります。
2. 2Dと3Dのサポート
- Godotは、2Dと3Dのゲームを開発するための機能を備えています。2D専用のエンジンが統合されており、パフォーマンスや使い勝手に優れた2Dゲームを開発することができます。3Dゲームの開発にも対応しており、シェーダー、ライト、パーティクルシステムなどの機能を提供しています。
3. シーンシステム
- Godotのユニークな特徴の一つが「シーンシステム」です。ゲーム内のオブジェクトや要素(キャラクター、背景、UIなど)はシーンとして扱われ、これらを組み合わせてゲームを構築します。シーンは再利用可能で、複雑なゲームを効率的に管理できます。
4. スクリプト言語(GDScript)
- Godotは独自のスクリプト言語であるGDScriptを採用しています。GDScriptはPythonに似たシンプルで直感的な文法を持ち、ゲームのロジックやインタラクションを簡単に記述できます。最近では、C#やVisualScript、C++など他の言語にも対応しており、開発者の好みに合わせて選択できます。
5. クロスプラットフォーム対応
- Godotで開発されたゲームは、Windows、macOS、Linux、Android、iOS、HTML5、さらにはコンソール(PlayStation、Xbox、Switchなど)にも対応しています。これにより、1つのコードベースで複数のプラットフォームにゲームをリリースすることが可能です。
6. 軽量かつ高速
- Godotは軽量で動作が速く、古いハードウェアでも動作可能です。これにより、開発者はリソースを効率的に活用し、パフォーマンスの高いゲームを開発できます。
7. 豊富なドキュメントとコミュニティサポート
- Godotは非常に活発なコミュニティと充実したドキュメントを持っており、初心者でも学びやすく、問題解決に役立つリソースが豊富です。公式ドキュメントに加えて、チュートリアル、フォーラム、Q&Aサイトなどがあり、開発者がサポートを受けやすい環境が整っています。
8. エクスポートオプション
- ゲームのエクスポートが簡単で、複数のプラットフォームに対応したビルドを迅速に作成できます。これにより、プロジェクトのテストやリリースがスムーズに行えます。
Godotは、その柔軟性、使いやすさ、そして強力な機能セットから、インディーゲーム開発者や小規模なスタジオに非常に人気があります。さらに、オープンソースであるため、エンジン自体をカスタマイズしたり、特定のニーズに合わせた開発が可能です。
まとめ
要約すると、非常に軽快に動作する2Dや3Dゲームをスクリプト言語で直感的に作ることができ、作ったものをAndroidやiPhoneで動くようにする(移植する)ことが簡単にでき、しかもそれらを販売しても、得られた利益は独り占めできるよと言っているのですね。そんなことがあっていいのでしょうか。神さまおゆるしください。
1つだけ不満をあげるとすると、情報が少ないことですね。特に日本語の情報が壊滅的に少ないです。なのでこのブログでちょっとずつわかったことを載せたり、情報が少ないことを嘆いたり、悩みを共有したりしようかなと思います。
次回の記事では、Godotのインストールについて書きます。
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